お知らせ & ブログ

複数人から贈与された場合の「基礎控除額」は?

こんにちは。
川木建設 不動産相続相談室の夢川です。

 

2024年6月26日(水)ウェスタ川越にて、「第87回不動産相続勉強会」を開催いたしました。今回は「STEP2~贈与と遺言書~」をテーマにお話ししました。令和6年1月1日から改正贈与制度が施行されたことで、皆様の関心もより一層高まっていることが感じられました。

 

今回は贈与制度の基礎控除に関するご質問を取り上げたいと思います。父と母など複数人から贈与を受けていた場合、「基礎控除額はどうなるのか?」という内容です。こちらについて、3つのケースで解説していきたいと思います。

 

【ケース1:父「暦年課税」+母「暦年課税」】
暦年課税制度には、年間110万円の基礎控除があります。これは、受贈者(もらう人)一人あたりの金額であり、贈与者(あげる人)が何人であっても変わりません。父と母それぞれから「暦年課税制度」による贈与を受けた場合、贈与額を合計して110万円を超えた金額に対して、受贈者は贈与税を納める必要があります。

 

【ケース2:父「相続時精算課税」+母「暦年課税」】
贈与制度改正により「相続時精算課税制度」にも年間110万円の基礎控除が新設されました。これも受贈者(贈与を受ける人)一人あたりの金額です。父からは「相続時精算課税制度」、母からは「暦年課税制度」で贈与を受けた場合、異なる課税方式を利用しているので、受贈者にはどちらの制度の基礎控除も適用されます。つまり、合計で年間最大220万円の贈与を受けても、贈与税がかからないことになります。

 

【ケース3:父「相続時精算課税」+母「相続時精算課税」】
父と母いずれも「相続時精算課税制度」で贈与を行った場合、受贈者の基礎控除額は110万円です。このケースでは110万円の基礎控除額を、父と母それぞれの贈与額に応じて按分して適用されます。それぞれの贈与額が、按分した基礎控除額を超えた部分については「相続時精算課税制度」の特別控除額(累計2500万円)に算入され、相続税の課税対象となります。

 

とても簡単にまとめてしまうと、「受贈者1人につき、制度ごとに110万円の基礎控除額がある!」ということですね。

具体的な税額計算や申告納税につきましては、税理士へのご相談をお勧めいたします。