「名義預金」は相続財産になりますか?
こんにちは。
川木建設 不動産相続相談室の夢川です。
2022年1月12日(水)、「第54回不動産相続勉強会」を開催いたしました。本年としては初回ですが、第11クールの後半戦に入っており、次回で最終回を迎えます。昨年から引き続きご参加いただいている皆様、誠にありがとうございます。
さて、今回もQ&Aをご紹介いたします。相続と並んで皆様からのご質問が特に多いのが、贈与制度についてのあれこれ。勉強会では「STEP2~贈与と遺言書~」で詳しく取り上げている他、相続対策のパートにおいても登場頻度が高いテーマとなっています。今回いただいたご質問も、贈与と相続に関連した内容になっています。
【Q.「名義預金」は相続財産になりますか?】
奥様名義の預金口座にご主人が預金をしている、お子様やお孫様名義の口座に父母・祖父母の方が預金をしている…このようなケースは「名義預金」と呼ばれています。「こうした口座に入っているお金は、誰の財産として扱われるのか?」というのが今回のご質問です。
これらのお金は、口座の名義人がご自身で作られた(稼がれた)ものではありませんので、お金を振り込んでくれた方からの「贈与」にあたります。そして、贈与は基本的に「もらう人」と「あげる人」の意思が合致していないと成立しません。お金を振り込んだ人は贈与のつもりでも、それが口座名義人の知らないところで行われていたら、「贈与」は成立していないことになります。ましてや、通帳も印鑑も口座名義人が管理していないような状態では、贈与とは言えません。(贈与として成立させるには、お互いの意思の合致・金額によっては贈与税の申告納税・贈与契約書の作成等々、行うべきことが出てきます)
さて、このような贈与になっていない「名義預金」が行われている状態で、お金を振り込んでいた方が亡くなったらどうでしょうか。こうした場合、税務上では「名義預金」も亡くなった方の相続財産として扱うことになっています。口座名義人が誰かではなく、実質的に誰の財産だったかという点で判断されるのです。税務の世界ではこれを、「実質課税の原則」と呼ぶそうです。この原則を用いれば、同じ状況で口座名義人が先に亡くなった場合は、このお金は口座名義人の相続財産とは扱われないということになりますね。
今回ご紹介したのは一般的な解釈になりますが、個別の具体的なケースについて気になる方は、税理士の先生にご確認いただければと思います。資産税(相続税・贈与税)に詳しい税理士の先生のご紹介も可能ですので、お気軽にお問合せください。