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「遺留分」は、いつまでも請求できますか?

こんにちは。

川木建設 不動産相続相談室の夢川です。

 

2021年11月4日(水)、ウェスタ川越にて「第32回不動産相続勉強会」を開催しました。今回のテーマは「贈与と遺言書」。生前にできる対策という視点でお話しており、参加者様からも特に人気の高いテーマとなっています。

 

遺言書のお話と絡めて、「遺留分」についてもご説明しています。遺留分とは、亡くなった方の近親者の利益を保護する観点から、一定の範囲の相続人に認められる最低限取得できる遺産の割合です。その割合としては、法定相続分の2分の1(直系尊属の場合は3分の1)となります。

 

例えば法定相続人がお子様3人(長男・次男・三男)だったとします。この場合に、亡くなったお父様が「長男に全財産を相続させる」という遺言を遺されていて長男が全てを相続してしまうと、次男・三男は法定相続分はおろか、相続できる財産がなくなってしまいます。こうしたときに、次男・三男が長男に対して請求できるのが「遺留分」なのです。

 

ここで、参加者様からご質問がありました。【Q.遺留分はいつまでも請求できますか?】

 

答えは「ノー」です。遺留分の請求には期限があり、遺留分を請求する権利のある人が、相続が発生したことを知ったときから1年間、また相続が開始したときから10年間を経過した場合、時効により消滅します。仮に相続開始から10年間が経過した後に相続の発生を知ったとしても、その時点から1年間ではありませんので、ご注意ください。

 

ちなみに、平成30年の民法改正により、遺留分の規定についても変化がありました。改正前は、遺留分を侵害されている財産が不動産だった場合、原則はその不動産の持ち分で返してもらうことになり、望まない共有状態を生み出す原因にもなっていました。実際には実務上の処理として、持ち分に相当する金銭を支払うことで解決していたケースが多かったようです。

 

改正後の民法では、こうした実情が加味され、遺留分を請求された場合は金銭で解決することが原則となりました。また、請求された側がすぐに金銭を用意できない場合も考慮し、裁判所が支払期限を猶予する許可を与えられる仕組みとなりました。

 

相続に関する原則は民法に定められていますが、そのルールも時代の流れとともに変化しています。不動産相続勉強会を通して、皆様に最新情報をお伝えしていけましたら幸いです。